冬の停電と寒さの備え
冬の停電で困るのは暖房です。帯広市の広報は、停電すると家庭で使われている暖房器具の9割以上が使えなくなると言われている、と書いています(出典)。使えるのは、コンセントの電気を使わない石油ストーブやカセットガスストーブで、使うときは換気が要ります(下の節)。令和6年1月の能登半島地震では、警察が取り扱った亡くなった人(関連死を除く225人、令和6年10月31日時点)の死因の1割強が低体温症・凍死でした(中央防災会議のワーキンググループの報告)。
停電で使えなくなる暖房、使えるもの
- 使えない。電気ストーブだけでなく、ガスや灯油が燃料でも、コンセントの電気で火を付けたり風を送ったりするもの(石油ファンヒーターや一部のガス暖房機器など)は使えません(日本ガス石油機器工業会・帯広市)。
- 使える。コンセントの電気を使わない石油ストーブ・ガスストーブです。日本ガス石油機器工業会は、停電中にやむを得ず使うときの注意として換気などを挙げています(出典)。帯広市は、冬の災害に備えるならカセットガスストーブやポータブル灯油ストーブなど、コンセントの電気を使わないものを、としています(出典)。東京都の日常備蓄のパンフレットも、冬の災害には持ち運べるポータブルストーブが便利で、灯油やカセットボンベが燃料のものは換気が必要、と書いています(出典)。
- 燃料の量。群馬県は大雪の前に、食料・水・灯油などを1週間分程度用意するよう書いています(出典)。カセットボンベの1人1週間に約6本という農林水産省の目安は、カセットコンロで調理するための量です(出典)。カセットガスストーブに使う分はこれに入っていません。
換気と一酸化炭素
石油ストーブ・ガスストーブ・ファンヒーターなどは、部屋の空気を使って燃え、排気を部屋に出します。換気しないと不完全燃焼が進み、一酸化炭素が急に増えます。一酸化炭素は味もにおいも無く、200ppmで頭痛などが出て、濃くなると吐き気・めまい、最悪の場合は死に至ります(東京都の保健所)。
| 資料 | 換気の目安 |
|---|---|
| 日本ガス石油機器工業会 | 1時間に1〜2回(1〜2分)程度 |
| 東京都 多摩立川保健所 | 1時間に1回以上、5分間程度窓を開ける。空気の出入り口は対角線に2か所以上 |
目安は資料で違うので、当サイトでは1つに決めずに並べます。停電中は換気扇が動かないので、窓を開けて換気します(日本ガス石油機器工業会)。
- 寝るとき・出かけるとき。石油ストーブは必ず消します。長い時間当たっていると低温やけどや脱水のおそれがあり、子ども・高齢者・病気の人が使うときは周りの人が気をつけます(日本ガス石油機器工業会)。
- 屋外用の機器と発電機。屋外専用のアウトドア用の機器は家の中で使いません(日本ガス石油機器工業会)。家庭用の小型発電機を室内で動かすと、一酸化炭素は10分ほどで1,600ppm以上になります(東京都)。
- 暗い中で。停電中に暗い中で操作するときは、やけどや転倒に気をつけます(日本ガス石油機器工業会)。
カセットボンベの付け方
- ボンベは機器に正しく付け、ガスが漏れていないか確かめます。付けたあとにシューという音や変なにおいがしたら火を付けず、すぐ外して使うのをやめ、火を近づけずに換気します(NITE)。カセットボンベ式のガスストーブでは、ボンベの切り込みがボンベ受けのガイドにはまっているかを確かめます(NITE)。
- NITE は、製造から26年たったボンベをカセットボンベ式ガスストーブに付けてガスが漏れ、火が付いた事故(2021年1月)を挙げています。2020〜2024年の5年間に知らされたカセットボンベなどの事故は204件でした(出典)。ボンベは製造から7年、こんろは10年が目安で、古いものは使う前にガス漏れを確かめます(NITE)。
- 寒いとボンベの中のガスが気化しにくく、火が付かないことがあります。そのときは服の中に包むようにして体温で温める、と日本ガス石油機器工業会は書いています(出典)。ボンベは機器から外し、室内の40℃未満の場所に置きます(NITE)。
低体温症に気づく、体を温める
- 低体温症は、体の深部の温度が35℃以下に下がった状態で、幼い子どもや高齢者に起こりやすい。32℃まではふるえが出ますが、それより下がるとふるえは消えます(日本救急医学会)。厚生労働省のガイドラインも、震えがなくてもなることがあるとしています(出典)。
- 郡山地方広域消防組合の管内では、運ばれた人の7割以上が屋内で、住宅が72.3%でした。一人暮らしの高齢者が自宅の居間で倒れていた例を挙げています(出典)。
- 東北大学の資料は、冬の災害では停電や壁の損傷によるすきま風で屋内も寒くなること、濡れた服や冷たい床、十分な食事がとれないことを挙げ、停電したときにどう暖を取るかを確かめておくよう書いています(出典)。
- 温め方。濡れた服は脱いで乾いたタオルでふく、部屋を暖める、床に直接寝ているなら毛布で包む(郡山地方広域消防組合)。寒い場合の対策のひとつとして、毛布や重ね着、床にマットや畳を敷く、帽子やマフラーで顔・首・頭を温める(厚生労働省)。
大雪・暴風雪のとき
- 電線が切れて停電すると、天気が戻るまで復旧の作業ができず、停電が長引くことがあります。吹きだまった雪で家の暖房の給排気口がふさがると、一酸化炭素中毒を起こすおそれがあります(札幌管区気象台など)。札幌市も、ストーブやボイラーの給排気筒が雪でふさがらないよう呼びかけています(出典)。
- 北海道の気象台などは、家の常備品にポータブルストーブと灯油・懐中電灯・携帯ラジオ・防寒具・非常食・飲料水を挙げています(出典)。群馬県は、車の燃料を満タンにし、携帯電話を充電し、持病の薬を早めにもらっておくよう書いています(出典)。
車の中で暖を取るとき
- 車の中で救助を待つときは、排気ガスによる中毒と低体温症に気をつけ、原則としてエンジンを止め、防寒着や毛布、新聞紙などで体温が下がるのを防ぎます。やむを得ずエンジンをかけるときは、排気管の出口を確実に雪から出します。条件によっては窓を開けていても閉めているときより一酸化炭素中毒の危険が高くなることもある、と北海道の気象台などは書いています(出典)。
- 札幌市は、マフラーが雪に埋まらないよう定期的に除雪し、窓を少し開けて換気するなどして救助を待つよう書いています(出典)。
- 首相官邸は、冬の運転には防寒具・長靴・手袋・毛布・使い捨てカイロ・スコップ・水・食料・懐中電灯・ラジオなどを積んでおくよう書いています(出典)。
水道管と給湯器の凍結
- 水道管の水が凍ると水が出なくなるだけでなく、膨らんで管にひびが入り、漏れることがあります。気温が-4℃以下になると凍りやすいと言われ、風が当たる・日が当たらない場所ではそれより高くても凍るおそれがあります。外に出ている管に保温材(毛布や発泡スチロールでもよい)を巻き、濡れないようビニールテープで蛇口の根元まで巻きます。12月〜3月上旬に数日家を空けるときは、メーターボックスの中のバルブを閉めます(東京都水道局)。
- 凍ったら、蛇口を閉めて自然に溶けるのを待つか、タオルをかぶせて40℃程度のぬるま湯をゆっくりかけます。いきなり熱湯をかけると管や蛇口が破裂することがあります(東京都水道局)。
- 停電すると給湯器の凍結を防ぐヒーターが動きません。計画停電など停電が前もって分かっていて、外の気温が零下に近いときは、取扱説明書に従って機器の中の水を抜きます(日本ガス石油機器工業会)。断水と水が戻ったときのことは停電・断水が起きたらに。
冬に足しておくもの
- 帯広市は、冬に必要になるものとして、防寒具・長ぐつ・ポータブルストーブ・使い捨てカイロ・防寒アルミシートを挙げ(衣類・毛布・寝袋は季節を問わず要るものとして別に挙げています)、防寒具やカイロは暖房器具と一緒に使うと効果的としています(出典)。
- 使い捨てカイロは冬の外出のときかばんに入れておくと、エレベーターに閉じ込められたときなどにも体を温められる、と東京都のパンフレットにあります(出典)。職場や学校に泊まるときの備えに、政府広報は毛布や保湿シート(1人1枚)を挙げています(出典)。
- 電気毛布をポータブル電源で使うときに要る容量は、停電の備えで家電を選んで出せます。
- 水・食料・携帯トイレの量は季節で変わりません。家族の人数から出すなら備えプランで。