浸水したあとの片付けと消毒
厚生労働省は、浸水した家の感染症を防ぐには清掃と乾燥が最も重要で、清掃が不十分だと消毒の効果を発揮できない、としています(出典)。消毒より先に、泥を出して乾かします。厚生労働省と日本環境感染学会の資料を中心に、片付けの順番に並べます。
1. 片付けの前に、写真を撮る
罹災証明書の調査や保険の請求のために、片付けや修理の前に被害の様子を写真に残します。浸水した場合は、深さがわかるように撮ります(出典)。撮り方と、そのあとの申請は被災したあとの手続きに。
2. 家に入る前に、換気と服装
- 数日して家に戻るときは、家の中にカビが出ていることがあります。日本環境感染学会は、ドアと窓を開けて30分以上換気してから入るよう書いています。ガス漏れがないことを確かめ、電気は安全が確かめられるまでブレーカーを切っておきます(出典)。
- 服装。丈夫な手袋、底の厚い靴、長袖など肌の見えない服、目と口を守るゴーグルとマスク。作業のあとは手を洗います(厚生労働省)。作業で着た服は、汚れていない服と分けて洗います(日本環境感染学会)。
- けが。傷口は流水で洗って消毒し、深い傷や汚れた傷は破傷風になることがあるので医師に相談します(厚生労働省)。破傷風のワクチンを10年以内に打っていなければ、医療機関に相談します(日本環境感染学会)。
- 暑い時期。作業の前に体調を確かめ、できるだけ2人以上で、一定時間ごとに休憩と水分をとり、暑い時間帯を避けます(環境省など)。
- 片付けが終わるまで、子どもとペットは部屋に入れないようにします(日本環境感染学会)。
3. 泥を出す
- 浸水して洗えない家具(カーペット、布製のソファーなど)は撤去します。浸水した衣類や布は、熱い湯で洗濯するか、80度の湯に10分以上漬けてから洗濯して乾かします(日本環境感染学会)。
- 床下。流れ込んだ泥や水が残ると、湿気で家の基礎や土台に影響が出る場合があります。床下の換気口のごみを取り、スコップや水で泥を出してから、雑巾で水気をとります(日本環境感染学会)。
- 高圧洗浄機を使うときは、マスクをして換気に気をつけます(日本環境感染学会)。
4. 乾かす
汚れた泥を取り除いてしっかり乾かせば、基本的に細菌やカビの繁殖はおさえられる、と厚生労働省はしています(出典)。扇風機などで風を送ると乾きが早くなります。床下も扇風機などで強制的に換気して乾かします(日本環境感染学会)。送風機を使うときは、土ぼこりが目に入らないよう気をつけます(熊本県)。
5. 消毒は、要るところだけ
- 消毒は、汚れを十分に取って乾かしてから行います。噴霧すると吸い込むおそれがあるので避け、ほかの消毒薬と混ぜません。薄めた液は作り置きすると効き目が落ちるので、使うときに薄めます(日本環境感染学会)。
- 床上浸水と床下浸水。床上浸水の部屋は、泥や汚れを取ってから消毒します。家のまわりや床下浸水は、泥を取って水で洗い流し、しっかり乾かすことが大事だ、と日本環境感染学会はしています(出典)。消防庁の区分では、床より上まで水が来たものが床上浸水、そこまで至らないものが床下浸水です(出典)。
- 床下と庭。屋外(床下や庭)の消毒は原則不要です(厚生労働省)。消石灰はアルカリ性で、肌や目に触れると炎症を起こし、目に入ると失明のおそれがあります。目に入ったらすぐに大量の水で洗い流し、医療機関を受診します(厚生労働省)。小松市は、消毒のために消石灰をまくことは近年行っていない、と書いています。し尿や汚泥が流れ込んで臭いが続くときは、清掃のあとに床下の消毒も検討するよう添えています(出典)。
家庭用の塩素系漂白剤の薄め方
日本環境感染学会は、市販の家庭用の塩素系漂白剤の原液を約5%として、次の作り方を示しています(出典)。原液の濃度は製品によって違うので、容器の表示も確かめてください。
| 使うところ | 濃度 | 作り方(原液約5%) | 使い方 |
|---|---|---|---|
| 食器など | 0.02% | ペットボトルのキャップ1杯(原液5mL)を水1Lに(0.025%になる) | 5分間漬けるか拭いたあと、水洗い・水拭き |
| 家具類・床 | 0.1% | ペットボトルのキャップ2杯(原液10mL)を水500mLに | 汚れを落として乾かしてから、液を浸した布でよく拭く。金属や木の色あせが気になるところは水で2度拭き |
塩素系漂白剤を使うときは、ゴム製の手袋・長靴とゴーグルをつけ、部屋の中では窓を開けて蒸気を吸い込まないようにします。肌についたら、すぐに大量の流水で十分に洗い流します(日本環境感染学会)。
消毒用のアルコールは、70%以上のものを薄めずに使い、火の近くでは使いません(日本環境感染学会)。
食べもの・水
電気とガスを使い始める前に
- 浸水した家電製品は、外側が乾いても中に水や泥・塩分が残り、火災を起こすおそれがあります。水に浸かったものは、メーカーや販売店の点検・修理を受けます(NITE)。
- 見た目に壊れていなくても、壁の中の配線や機器の中の故障で、電気が戻ってから長い時間がたって火災になる場合があります。煙などに気づいたら、すぐブレーカーを落として消防に連絡します(消防庁)。
- 水に浸かったコンロ・湯沸器・風呂釜などのガス器具は、契約しているガスの事業者の点検を受けてから使います(新潟県)。
災害ごみの出し方
- 災害ごみの置き場所・分別・時間は市区町村が決めて知らせます。そのルールに従って出し、被災したもの以外は持ち込みません。片付けごみは原則として道路に出しません。分別されていないと、復旧が遅れる原因になります(環境省 近畿地方環境事務所など)。
- 同じ資料には、中身の入った冷蔵庫・冷凍庫は受け入れられない、とあります(出典)。
訪ねてくる業者に気をつける
国民生活センターは、被災後の混乱に便乗した点検商法や不当に高い請求のトラブルが増えるとして、契約はその場で決めず、できれば複数の業者から見積もりを取り、周りの人や消費者ホットライン(188)に相談するよう呼びかけています。訪問販売や電話勧誘で結んだ契約は、クーリング・オフができます(出典)。