被災したあとの手続き
最初にやる3つ
生活を立て直すための公的な支援や保険の多くは、被害の程度の確認から始まります。下では、写真・罹災証明書・支援・税金・保険の順に、内閣府などの説明に沿って並べます。制度の対象になるかは、災害の規模や条件、市町村の判断によります。最新の内容は市町村と、それぞれの窓口で確かめてください。
1. 片付けや修理の前に、写真を撮る
内閣府は、片付けや修理の前に家の被害の状況を写真に撮って保存しておくよう呼びかけています。先に片付けや修理をしてしまうと、罹災証明書のための調査が難しくなるためで、保険会社に損害保険を請求するときにも役に立つ、としています(出典)。
- 家の外。なるべく4方向から撮る。浸水したときは、メジャーなどをあてて深さが分かるように、「引き」と「寄り」の写真を撮る。
- 家の中。被害を受けた部屋ごとの全景と、被害箇所の「寄り」を撮る。内壁・床・窓・出入口・襖・キッチン・洗面台・便器・浴室など、被害を受けた部屋と箇所はすべて撮る。
日本損害保険協会も、安全のために片付けや修理が必要なときは行ってよいとし、その際はできるだけ損傷箇所の写真を撮って保険会社の担当者に渡すよう案内しています(出典)。
浸水したときの片付けの順番(換気と服装、泥出し、乾燥、要るところだけの消毒)は浸水したあとの片付けと消毒に。
2. 罹災証明書を申請する
罹災証明書は、市町村長が災害による住まいの被害の程度を証明する書類です。被災者生活再建支援金、応急仮設住宅への入居、住宅の応急修理、義援金の受け取り、税金などの減免、融資などを受けるときに必要になります。申請の窓口は、被害を受けた住まいのある市町村です。申請すると市町村が住まいの被害を調査し、被害の程度を次の6つの区分のどれかに決めて交付します(出典)。
- 建物に「危険」などの紙が貼られる応急危険度判定は、別の調査です。「危険」と判定されても、罹災証明書で「全壊」になるとは限りません(出典)。
- 地震の被害の調査では、最初の調査(第1次調査)は外観から家の中の被害も推定して判定し、立ち会いなしでも行えるので、比較的早く交付されます。家の中の被害が推定より大きいと思うときは、家の中にも入って調べる第2次調査を申し出られます。第2次調査は被災した人の希望に応じて行われ、行われた場合は基本的にその判定で交付されます。第1次調査と判定が変わることがあります。立ち会いが要るため、日程の調整などに時間がかかる場合があります(出典)。
3. 受けられる支援
10世帯以上の住宅が全壊した市町村などの災害で、住まいが全壊するなどの被害を受けた世帯には、被災者生活再建支援金が支給されます。使い道は限られていません。被災したときに住んでいた世帯が対象で、空き家・別荘・人に貸している家は対象外です(出典)。
| 住まいの被害 | 基礎支援金 | 建て直す・ | 補修する | 借りる |
|---|---|---|---|---|
| 全壊・解体・長期避難 | 100 | 300 | 200 | 150 |
| 大規模半壊 | 50 | 250 | 150 | 100 |
| 中規模半壊 | - | 100 | 50 | 25 |
「建て直す・買う」「補修する」「借りる」は、基礎支援金と加算支援金の合計です。世帯が1人のときは、それぞれ3/4になります。申請は市町村で、基礎支援金は災害が起きた日から13か月以内、加算支援金は37か月以内。基礎支援金を先に申請し、住まいの再建の方法が決まってから加算支援金を申請できます(出典)。
- 住宅の応急修理。災害救助法が適用された市町村で、罹災証明書が大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊の世帯が対象です(自ら修理する資力がないことなどの条件があります。全壊でも、修理すれば住める場合は対象になることがあります)。修理は都道府県などが修理業者を通じて行い、1世帯あたり大規模半壊・中規模半壊・半壊は75万7千円以内、準半壊は36万7千円以内です(令和8年4月。出典)。
- 屋根などの緊急の修理。ブルーシート・ロープ・土のうなどの現物の支給か、業者によるブルーシートの展張が、災害の日から10日以内に行われます。準半壊以上かどうかは、自治体の職員の確認か、被害を受けた人が持ってきた写真で判断する、としています。1世帯あたり5万6,400円以内(令和8年4月)で、物置・倉庫・駐車場などは対象になりません(出典)。
- 家族が亡くなったり、重い障害が残ったりしたとき。災害弔慰金・災害障害見舞金があります。生活を立て直す資金を借りられる災害援護資金もあります(所得の制限あり)。窓口は市町村です(出典)。
- 住宅ローンなどが返せなくなったとき。災害救助法が適用された自然災害の影響で返済が難しくなった個人・個人事業主は、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」で、破産などの法的な手続によらず債務の免除・減額を申し出られます。弁護士などの手続の支援を無料で受けられ、個人信用情報に登録されません。最初の問い合わせ先は、いちばん多く借りている金融機関です(出典)。
- 住まい。住めなくなった家の代わりの住まい(応急仮設住宅・公営住宅など)は、市町村に相談します。応急修理を申し込んだ人も、修理の期間が1か月を超える見込みで、自宅が半壊(住宅として使えない場合)以上の被害を受け、ほかの住まいを確保できないときは、修理の期間中の住まいとして応急仮設住宅に入れます(原則として応急修理を申し込んだ日から6か月以内)。公営住宅への入居の制度もあります。このほかの制度は、内閣府の「被災者支援に関する各種制度の概要」にまとまっています。
4. 税金・保険料・料金
- 所得税。住宅や家財に損害を受けたときは、確定申告で、雑損控除と災害減免法による軽減・免除の有利なほうを選べます。災害減免法は、損害が価額の2分の1以上で、その年の所得の合計が1,000万円以下のときに使えます(出典)。
- 申告と納付の期限。災害で期限までに申告・納付ができないときは、期限を延ばせます。延長の申請は期限が過ぎてからでもできるので、落ち着いてから税務署に相談するよう国税庁は案内しています(出典)。
- そのほか。住民税・固定資産税などの地方税、国民健康保険の保険料、国民年金保険料、電気・ガス・電話料金、NHK受信料なども、軽減・免除や猶予が行われることがあります。問い合わせ先はそれぞれ違います(出典)。
5. 保険を請求する
- まず保険会社に連絡する。契約している保険会社か代理店に、できるだけ早く連絡します。損害保険の請求に、罹災証明書の提出は原則として要りません。請求できる権利は3年で時効になります(出典)。
- 証券をなくしたとき。家が流されたり焼けたりして契約先が分からないときは、日本損害保険協会の自然災害等損保契約照会センター(0120-501331)に照会できます。災害救助法が適用された地域などが対象で、連絡まで2週間程度かかる、としています(出典)。
- 地震の損害は地震保険で。財務省によると、火災保険では地震が原因の火災による損害は補償されません。地震保険は火災保険とセットで入るもので、被害が全損なら保険金額の100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%が支払われます(時価が限度。平成29年1月以降に始まった契約の場合で、それより前の契約は半損50%)。地震の翌日から10日を過ぎて生じた損害や、紛失・盗難は支払われません(出典)。
財務省は、地震保険は保険会社の査定によって支払うもので、一律の見舞金のようなものは無いとして、地震に乗じた詐欺に注意するよう呼びかけています(出典)。日本損害保険協会も、「保険が使える」と言って住宅の修理を勧める業者や、保険金の請求を代行する業者とのトラブルが増えているとしています(出典)。困ったときの相談先は消費者ホットライン(188)です(国民生活センター)。訪ねてくる業者への備えは浸水したあとの片付けに。