避難所での生活と健康
- トイレを我慢せず、水分を控えない
- 1時間に1度は足を動かす(エコノミークラス症候群)
- 感染症を広げない
- 口の中を清潔にする
- 暑さと寒さに備える
避難所に着いてからの過ごし方です。東京都は、災害のあとの避難生活による体調の悪化などが原因で亡くなることを「災害関連死」とし、過去の災害では避難所だけでなく在宅避難のときにも多くの人が亡くなっている、としています(出典)。ここでは、避難生活で体調を崩さないために国や都が挙げている上の5つを、順に詳しく書きます。持っていくものは非常用持ち出し袋(首相官邸のチェックリスト)に。
トイレを我慢せず、水分を控えない
内閣府のガイドラインは、トイレが不衛生だったり使いにくかったりして排泄を我慢すると、水分や食べ物をとるのを控えることにつながり、栄養状態の悪化・脱水症状・エコノミークラス症候群などの健康被害のおそれがある、としています。新潟県中越地震では、トイレが不安で水を飲むことを控えた人がいました(出典)。
厚生労働省も、トイレが整備されないことなどで水分をとる量が減りがちになるとして、こまめに水分をとるよう呼びかけています。特に高齢者は脱水に気付きにくい、としています(出典)。内閣府のガイドラインは、携帯トイレは自宅などでも使えるとし、各家庭での備蓄を促すよう市町村に求めています(出典)。家族の分の回数と使い方は携帯トイレに。
エコノミークラス症候群を防ぐ
厚生労働省は、食事や水分を十分にとらないまま、狭い座席などに長い時間座って足を動かさないでいると、血のかたまり(血栓)が肺に詰まるおそれがあるとして、次の6つを挙げています(出典)。
- ときどき、軽い体操やストレッチ運動を行う
- 十分にこまめに水分を取る
- アルコールを控える。できれば禁煙する
- ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めない
- かかとの上げ下ろし運動をしたりふくらはぎを軽くもんだりする
- 眠るときは足をあげる
首相官邸は、片側の足のむくみや痛み、胸の苦しさ、呼吸困難などがあるときは、救急車を呼ぶなど緊急の対応をするよう呼びかけています。エコノミークラス症候群の可能性があるためです(令和6年能登半島地震の被災者向け。出典)。
車の中で過ごすとき
- 厚生労働省は、車の中で寝泊まりするなど長い時間足を動かさないでいるとエコノミークラス症候群を起こすおそれがあるとして、1時間に1度はかかとの上げ下ろし(20〜30回程度)をすること、3〜5分程度歩くことを挙げています(出典)。歩くときの息切れ、胸の痛み、一時的に意識を失う、片側の足のむくみや痛みがあれば早めに受診するよう、同じページにあります。
- 環境省によると、車の中は狭く空気がこもるため短い時間で気温が上がり、夜でも熱中症のリスクがあります。冷房のためにエンジンをかけたままにすることは、一酸化炭素中毒のおそれや燃料切れ、バッテリーが上がる原因になるので避けるよう書いています(出典)。
感染症を広げない
厚生労働省は、避難所では衛生状態を保つことが大切だとして、次のことを呼びかけています(出典)。
- 感染症に「自分がかからない」ように手洗いを、かかっても「他人にうつさない」ために咳エチケットを。
- 流水で手を洗えないときは、アルコールを含んだ手指消毒薬を使う。くみ置きの水を使うときは、バケツの中の水で直接手を洗わない。
- 居住する場所は土足厳禁に。トイレで汚れた履き物から感染が広がるおそれがあるためです。
- 嘔吐・下痢・発熱などの症状があれば、すぐに職員か管理者に知らせる。
手指消毒剤・ウェットティッシュ・マスクは、首相官邸のチェックリストの「感染症対策」の区分にも入っています(出典・非常用持ち出し袋)。
口の中を清潔にする
厚生労働省によると、避難生活では水の不足などで歯や口、入れ歯の清掃がおろそかになりやすく、特に高齢者は誤嚥性肺炎などを起こしやすくなります。歯みがきができないときでも、少量の水でできるうがい(ぷくぷくうがい)をする、支援物資の菓子パンやお菓子は食べる時間を決めるなどして何度も食べないようにする、としています(出典)。同省の健康管理のガイドラインは、歯ブラシ・歯みがき粉・歯間ブラシ・糸ようじ・義歯洗浄剤を口腔衛生の用品として挙げています(平成23年。出典)。
神奈川県の動画「災害時の口のケア」(原題「災害時、そのオーラルケアがいのちを守る!」・YouTube の「かなチャンTV(神奈川県公式)」・3:02)は、歯ブラシや水が足りないときに、少量の水を何回かに分けてゆすぐ、指にハンカチなどを巻いて歯の汚れをとる、唾液腺をマッサージするという口のケアを、神奈川県歯科医師会の歯科医師が示す動画です。
暑さと寒さ
- 暑さ。環境省・内閣府などは、のどが渇いていなくてもこまめに水分・塩分をとること、熱中症警戒アラートや暑さ指数で暑さを確かめることを挙げています(出典)。家で停電して冷房が使えないときのことは停電・断水が起きたらに。
- 寒さ。厚生労働省の健康管理のガイドラインは、寒い場合の対策のひとつとして、毛布や重ね着、床に直接座らずマットや畳を敷く、顔・首・頭を帽子やマフラーで保温することを挙げ、低体温症は震えがなくてもなることがあるとしています(平成23年。出典)。家で停電したときの暖房と換気は冬の停電と寒さの備えに。
- 発電機や木炭を使う器具は、屋内や車庫など換気の悪い場所で使わないよう厚生労働省は呼びかけています(出典)。詳しくは停電・断水が起きたらに。
市町村が整えることになっているもの
内閣府の指針は、市町村に対して、段ボールベッドなどの簡易ベッド・間仕切り・冷暖房機器の整備などを求めています。床に長く横になっているとエコノミークラス症候群や埃を吸い込むことによる健康被害が心配されるため、ベッドの設置が望ましい、ともしています。居住スペースは1人あたり最低3.5㎡、トイレは初期は50人に1基、その後は20人に1基が目安です(出典)。実際にどこまで整っているかは避難所ごとに違うので、住んでいる市区町村の案内を確かめてください。